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宴の毎日、鬱の日々

イラスト描いたり日記書いたりしたいなーって思ってます。 気付けばコンコレの事ばかり。

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長編の予感……!

黒い雲の渦巻く空。
枯れた大地。
よく分からない何かの鳴き声呻き声。
魔界。
それはまるで人間の心の奥底にある黒さを形容したような場所だった。
「うっひゃー……すっげー景色」
「ようやく着きましたね」
「ああ」
「早くヤローのアジトに行きやしょーぜ!ゆーしゃさま!」
「待て。そう焦らない方が良い。
 此処はもう敵陣。気を引き締めて行った方が良い」
「サーの言うとおりだ。緊張感を持って挑むぞ」
「あいあーい!」
人間。
元来彼らは、その場所には住まわぬ種族であるはずだ。
当たり前である。
彼らは人界からの使者。
否、魔王討伐のために派遣された勇者一行である。
僧侶のココ、格闘家のヒュージ、魔術師のサー。そして、勇者のアリー。
4人は数多くの戦闘を経てきた。
時に血を流し、涙を流し、笑みを零し合い、ここまで来たのだ。
最終決戦。
今回はそう名付けて良いだろう。

魔界到着から数時間後。
城へ潜入した勇者一行は、魔王の間の扉の前で最後の会議を行った。
「『ヒールレイン』!」
ココの回復魔法により、徐々に体が癒えていった。
あれだけ買いこんだ薬ももう残り少ない。
「いいか。此処まで来たんだ。もう後戻りはできない。
 逃げてもまた別の魔物にぶち殺されるのがオチだ。
 全力で、それこそ死ぬ気で戦うんだ」
丸くなり、出来るだけ小さな声で作戦を伝えた。
「……以上が、今回の作戦だ。
 皆、行くぞ!」

「「「「オオッ!」」」」



魔王の間の扉を開ける。
側近であろう魔物が左右に一人ずつ。
その中央には禍々しい玉座。
その上に座る、魔王。
「よく来たな。虫けらども」
「来てやったぞ。最低野郎」
腰に差した剣を抜き、魔王の方へ向ける。
「我が名はアリー・ラエル!第68代勇者として、貴様を殺す!」
「ほう……」
左右の側近が咄嗟に身構えたが、魔王の静止を受け、すぐに構えを止めた。
魔王は玉座から立ち上がり、一歩前へ歩いた。
「面白い。久しぶりに楽しめそうだ」
一歩、また一歩、アリーに近づく。
それでもまだ剣は、魔王の頭へと向いたままだった。
剣が頭に触れる直前の位置で魔王が立ち止った。
「我が名はマオディナーク・ルオ=ホーレーブルック。第75代魔王として、貴様を……殺す」
「……やれるもんなら」
剣が降ろされる。
と同時に、アリーが魔王に飛びかかった。
「やってみやがれ!!」

最終決戦。開始。

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「そ……ん、な……?」
「ふん、この程度か。人間」
瞬殺だった。
レベル80オーバーの仲間が、今まで苦楽を共にした仲間が、一瞬にして屍になった。
ココは首を飛ばされ、
ヒュージは左半身が丸く抉れ、
サーに至っては破裂したかのように木端微塵になった。
「まったく、大したことのない奴らだ。
 まだ部下をいたぶる方が楽しいと言うのに」
「……まだだ……まだ、終わって……」
かく言うアリーも、四肢があらぬ方向に曲がり、腹部に大きな傷を負った。
剣も折れ、魔力量も薬も底をついた。
もう立つことも、剣を持つこともできなかった。
「貴様らも愚かだな」
「!」
「勝てぬと分かっている相手になぜ牙を剥く?」
魔王がアリーの前にしゃがみ込み、彼女の頭を掴んで同じ目線になるように持ち上げる。
「い……!」
「なぜだ?なぜ未だに抗い続ける?」
彼女の青い眼が彼の白い顔をとらえる。
喰いしばった口をゆっくり開き、言葉を吐く。
「……いつか勝てると、信じている、から……だ!」
プッと口の中に溜まった血を吐く。
勿論、それは魔王の顔にぺしゃりと付いた。
「ザマー、ミロ、ってのよ」
「貴様!魔王様に向かって何を」
「止めろ!イフジニール」
今まで動かなかった側近の一人が走り寄ろうとしたが、魔王の静止にまた立ち止まる。
「で、ですが」
一瞬にして黒い靄が辺りを包んだ。
どす黒い魔力。
闇の魔力。
それが槍の様に形作られ、イフジニールの頬を掠めるように放たれた。
「止めろ、と言っている。それとも、貴様も死ぬか?イフジニール」
「う……」
すみませんでした。と謝る彼を視界から外し、魔王は再度、アリーの顔を見た。
が、彼女は気絶していた。
膨大な魔力に中てられ、気を失ったのだ
「……(心音は、ある)」
パッと手を放すと、力無く彼女の頭は地に落ちた。
溜息一つ。彼は立ち上がり、イフジニールを呼んだ。


ここまでが前座。
本編はこの後の話で御座い。
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