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宴の毎日、鬱の日々

イラスト描いたり日記書いたりしたいなーって思ってます。 気付けばコンコレの事ばかり。

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とある野良狐の話

俺は死ななかった。
否、死ねなかった。
別に死にたかったわけじゃない。
ただ、どんなに傷ついても、弱っても、寸でのところでまた息を吹き返す。
身体が老いて朽ち果てても、ズタズタに引き裂かれても、一日あれば事足りた。
昔の友人曰く、「不死の病」だそうだ。
細胞の遺伝もあるのかもしれない。

俺はこの病が怖かった。
周りが死んでいくのを横目に、生きるのが怖かった。
恨めしそうに見つめられ、一週間は肩が重かった。

俺は自分が大嫌いだ。
この病も、この身体も。

何より、誰も愛せない、愛するのが怖いという臆病なところが一番嫌いだ。
俺は何より、独りでいる事を望んでいた。

 ◆

私は前世を覚えている。
うすぼんやりと、まるで蛍の光の様に。
前世は美しい白鳥だった。
白い翼を、身体を、森の中の湖に浮かべて泳ぐのが好きだった。
そこで好きな人――地球の『人間』という種族の一人――もできた。
おどおどとしていたけれど、とても優しい人だったのに。
その人に殺された。
彼から与えられたものをひたすら体に蓄えた。
愛情を刻み付けるのに必死だった。
その果てに、私は水底へ沈んだ。

それから、私はこの地で生まれ変わった。
白い体毛の白鳥の様な狐。
誰にも媚びず、誰とも群れなかった。
愛した果てに殺されるのが怖かったから。
愛した果てに殺してしまいそうで怖かったから。

私は愛されるのが、愛するのが怖い。
だから。
私は何より、独りでいる事を望んでいた。

 ◆

二人が出会うまで。
それほど時間は掛からない。


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